古代では草や木から繊維を取り、草や木の布を織るのが一般的でした。一般に原始布とか古代布と言われ、楮布、科布、藤布、葛布、からむしの布(苧麻)などがあります。
そこで私の身近にある植物で糸作りを試み、私なりの草の布や木の布作りをしてみました。
ほんの少しの体験に過ぎませんが、昔の女性に課せられた仕事の苦しさを想います。それと同時に草や木で布を織り、生活に生かした私達の先輩達の知恵と努力にも感心します。
楮
からむし
科の木の苗をもらって植えています。
これで糸を作ることはないでしょうが、成長が楽しみです。
宮沢賢治のお話の中に「まだの皮でこさえたけらを着て・・・」というまだは、この科のこと。 きっと内側の柔らかい部分は科布用に、外の硬い部分は縄にしたり、けらのようなものに編んだりしたのでしょう。写真右の科の繊維や糸はなかなか手に入らず、お友達から分けてもらったものです。
科(しな)
楮から糸にするのは、力の要る大変な仕事です。なにもかも本と首っ引きの手探り状態。どうすれば白妙の・・・しかも和妙(にぎたえ)になるのやらと心細い限りです。
楮はこの古代織りの繊維の中ではもっとも古いとされます
しかも「木綿・・ゆう」と呼ばれ、その白さが尊ばれ、
神事などにも使われています。
でも硬い木の皮から布を作るのは並大抵の事ではありません。昔の人の苦労と技術のすごさを
身をもって知ることができました。
草の布 木の布 原始布
以前は夏になるとからむしを刈り取り、苧ひきをし、
とても忙しい思いをしたものでした。そのくせその後の糸つくりは少しも進まず作品が出来ません。この頃では道端の野がらむしを皮つきのまま織り込んで
楽しんだりしています。
でも出番の回ってこない白くてきれいなからむしを時々取り出して眺めていると、豊かな気持ちになります。
いつか草の布 木の布のコーナーに載せられるといいのですが・・・。
秋の七草の葛は夏から秋に赤紫の花をつける
豆科の植物です。家の周辺ではびこっているのを見かけますがからみあっていないすうーと延びた茎はなかなか見つかりません。
散歩の度、良い蔓はないかとキョロキョロしています。葛の繊維は白く輝き美しいので, 私は大好きです。
夏の炎天下、野原の作業、川での作業と紫外線との戦いが続きます