葛布

葛はきらきら輝く美しい繊維です。夏になり、
葛が伸びてくると葛糸作りに精を出します。

葛で織った帯
草の布・木の布の材料、葛の葉

 葛苧づくりには川の流れが大切です。川の水が葛苧の汚れを洗い流し
夏の太陽が葛宇を一層白く美しいものにしてくれることでしょう。
・・・でも葛苧が少量でしかも近くに川がないときはなるべく大きな容器に水を張りゆすいでみたりすることも可能ですが・・・・
 今年は仲間と一緒に長幡部神社近くの里川で葛を洗いました。魚がいっぱいで鷺が餌をとっている、そんな光景にうっとりしていると目の前をカワセミが飛んで行くものだから大感激。
肝心の葛苧洗いしている写真を撮るのを忘れてしまいました。 上の写真は平成12年頃。

2・よりをかけ、経糸にも横糸にも使用  
織物の民俗誌と言う本では唐津ではたて糸、横糸共によりをかけ、
葛布の着物にしたとあります。よりの掛け方は楮や科、
からむしと同じようで、先端を2本に裂き、そこへもう1本の繊維をいれ
縄のようにねじっています。
こうすると経糸として使えるわけですが、実際やってみると
つるつるしていらみあわないので扱いにくいものでした。
でもきっと葛も古代には こうしてよりをかけながら布を織ったに違いない・・・・そう思ってよりをかけた糸(横糸)を作り織ったのが、右の画像、
草の布 木の布作品  にある葛の帯です。

里川につけて きれいな葛宇にする。おばさん達も川の水に戯れこの日は
子供にもどる。みんなの笑い声が絶えない、楽しい作業

古代織の部屋ゆう
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草の布の葛を川で洗う

夏になると葛はぐんぐん成長し 地面を覆いつくします。

葛布づくり
半日ほど水につける。
その後刈り取った草の中に入れビニール等でおおいをして2~3日醗酵させる。 ぬるぬるした皮や芯を取り除き、川で洗いさらす。
葛は根は葛粉に、葉は馬の餌、つるはこの葛布以外にもかごや袋編みにと、大いに人の役にたってきた植物です。今は馬の餌の需要はないでしょうが、砂漠の緑化に一役買っていると聞きますし、葉はきれいな緑染めができます。葛のかご作りも楽しいものです。素晴らしい!と言いたいところですが、
その繁殖力は恐ろしいぐらいです。生い茂った葛原を見て 人の管理が必要だと痛感しました。

葛苧の出来上がり。
今年(H.16)は天気は悪いし、怪我はするしで400グラムしかとれませんでした。

草の繊維を取るため、葛を煮る
(掛川で行われている葛織)

1・よりをかけず、横糸にする

木枠に巻いた葛の糸
0分~40分葛を炊く
かごの糸の上に大豆でもばらまいておくと、
糸がきれいに巻き取ることができます
細く裂いた葛の繊維
草の布・木の布の材料、葛の茎

川で洗い、陰干しした葛の繊維(葛宇)は細く裂き、つないでいきます。
掛川では葛結びという機結びのダブルになったような結び方でつないでいきますが、
私は普通の機結びです。
掛川の葛布は経糸に麻、絹、木綿を使い、横糸に裂いたままの葛を入れています.
葛は繊維が繊細でしかも白く美しいので、染めなくてもきれいです.

8月葛の茎を2~3メートルに切り、鍋に入るように束ねる

雑感

私はこんな風にかごにためてから、木枠に取ったり、
ひに巻いたりしています。
織る時、乾燥に弱く切れやすいので、濡らして織ります。

草の布、葛の繊維