アンデスの染め織り・・・・・・豊雲記念館

目指す豊雲記念館は緑に囲まれた素敵なたたずまい

神戸  東灘アートマンス参加

豊雲記念館
アンデス文明展ポスター
インカのつづれ織り

 もじり織りを習っている頃、アンデスのもじり織りの布を展示している豊雲記念館のことを知り、関西に帰ったらぜひ訪れてみたいと思っていた。西宮に越してきてすぐにタウン紙で10月20日〜11月25日まで神戸東灘 アートマンスが開催されることを知った。7箇所の美術館、記念館を巡る催しで、そのうちの香雪美術館、世良美術館、白鶴美術館、そして豊雲記念館の4箇所は阪急御影周辺にある。
昔、この周辺の学校に2年間通った懐かしい土地でもある。
10月、早速出かけ関西の文化、美術を堪能。ちなみに各美術館の催しは次のとおりです
           

                豊雲美術館・・・・・・・・・・アンデスの文様

           世良美術館・・・・・・・・・・水彩、油彩の絵
           香雪美術館・・・・・・・・・・茶入・なつめの名品
           白鶴美術館・・・・・・・・・中国の金工・ペルシャじゅうたん

の記事を持って早速豊雲記念館2階展示室へ。この展示室では全コレクションの60%がアンデス文化の遺物で、B.C.10世紀頃からA.D.16世紀頃の出土品という。ガラスケースの中に貫頭衣や刺繍の施された布等が展示されているが それ以外の戸棚に収納されている布も かなりのものが自由に開けてみることができる。
今回展示されていないもじりの織物もこの戸棚のケースの中に保管されていた。
見学に訪れた者がこの貴重なアンデスの織物に触れることが出来るよう いろいろな配慮がなされているのが嬉しい。1回目見学に行った時は作品の多さや精密さに圧倒され、感激して帰ったのだが、家でゆっくり記事を読み直していると、1センチに104本も織れるものかと不思議に思えて仕方なかった。
今回、受付でそんな話をすると、専門の方の説明を受けることができるようにして下さった。

      経糸(縦糸)は1cmに19本   白の木綿でS縒りの双糸
      緯糸は獣毛でS縒りの双糸   赤、黄,紺、緑、茶、白、濃茶に染められている。

細い細い糸で文様を織り出すため、打ち込みをきつくしてこの104本と言う数になるのだそうだ           竪機を使用。

 10月19日、公開前日タウン紙、asahi familyに名品を訪ねてと称して
いけばな小原流豊雲記念館の神人文綴織貫頭衣(しんじんもんつづれおりかんとうい)が紹介された     (以下その記事より)
南米・アンデス地方で出土したポンチョの一種。
アルパカなどの獣毛や木綿を紡いだ糸は超極細で、幅1cmに104本も織り込まれている。
「その精巧な織りや多彩な色彩は、この地に優れた染織技術があったことの証しです。
またこれほど完全な形での出土は珍しいですよ」と 言うのは同館の学芸員、田中弘二郎さん。
日本にも奈良時代の「当麻曼荼羅図」など綴れ織りがあるが、その写実的な絵に比べて、この貫頭衣の文様は様式的。モチーフはピューマやコンドル、ヘビなどが合体した神様で、シンプルかつパワフルに描かれている。・・・・・・・以下略

 104本も打ち込むということは経糸が均一にしっかり縒られていなければならない。
その糸紡ぎの技術が卓越していなければこれは不可能だ。
しかも1cmに104回も文様にそって横糸を入れるのも 指先だけでの仕事となる。数段毎の文様の繰り返しならそうこうを作り、多少の合理化を計ることができる。
しかしこのような1段、1段違った文様では 文そうこう等は使えない

ただひたすら縦糸の数を数えつつ、すくって織り込むというような、
いわば時を織り込むような作業に違いない小さな小さな柄の綴れ織だから一つの色糸はほししか 表に出てこない。柄の色糸を織り込んだら1cmに104本なのだ!説明を受け、布と説明書をよくよく見て、織の技法は納得。でもどうしてこれほどの手作業が古代に可能だったのか、
こんどは人の技のすざましさにやはり驚愕するばかり。

中には1cmに縦糸10本、横糸9本という布もあって これなら私も織れるとちょっとほっとした。2回目の見学では作品をしっかり見るようにしましたが、やはりそのすざましい人間の技にまたまた圧倒されて帰ってきた。帰り際、1階のロビーにご自由にどうぞと アンデスの染織  ポンチョの変遷という冊子が置いてあった。全員ありがたく頂戴して帰る。


正倉院展1
神人文綴織貫頭衣
(ペルー・6世紀頃・90×112)
古代織の部屋ゆう
気の遠くなるような細かいアンデスの文様

小原流三世家元・小原豊雲が心を傾けた原始美術的なもののコレクションでアンデスの染織品・アンデスの土器東南アジアの民俗資料等の展示

風格ある建物

豊雲記念館のパンフレットより

綴織袋(インカ・15世紀頃)