エムシアツ
翌年の4月 2泊3泊の予定で再び旭川を訪ねました。1日目午後
杉村さんは用ができたとのことで妹さんからチタラペを習いました。
短い時間でしたがいつも気になっていたアンギンと同じような編みの経験ができ 良かったと思います。
北海道ではアイヌのアッシ織が今なお原始機で織られていますが、本で見たところ 筬の位置や中筒等の道具の形に違いはあるものの 私達の織り方とはさほど違いがあるようには思えませんでした。かえって このように楮や科の織物も同様に作られてきたのだという実感がありました。でも刀の紐・・エムシアツは一体どんなものか理解できませんでした。
そこで1998年、1999年と2回 旭川の杉村京子さんを訪ねて、念願のエムシアツの手ほどきを受けることができました。それまでの疑問が解けた喜びと大自然の中のアイヌ民族の工芸に感動した旅でした。教えてくださった杉村京子さんに感謝いたします。
編み始めは力を入れすぎて幅が狭くなってしまいました..
途中から太めになったエムシアツを見ていると、あ〜あ筬があればなーなんて思ってしまいます
エムシアツを編む
翌日,いよいよエムシアツのけいこ
経糸に植物の繊維を縄にしたものを使うと聞いていましたので 岩しばをよったものを持っていきました。サンプルで短いものを作るのに私の縄はすぐに足りなくなり、急きょ 麻縄を入れて34本の経糸にしました。(36本前後の経糸)
経糸の上部に割り箸を2本表側、裏側からあてがい、経糸の間を糸で箸に固定する。それを上から
ぶら下げ編んでいきます。私はエムシアツは織物かと思っていましたが、
これは片側のみしか固定していないので織ではなく編み物になるそうです。
横糸は紺と白の綿糸を使い横もじりしながら編んでいきました。
夜はベットに経糸の束を掛けて編み やっと帰るまでに要領が分かってきました。
エムシアツはやっていませんでしたが、20人程の女性が袋あみ、
チタラペ、刺繍などに取り組んでいました。
杉村さんの袋編みは私のやり方は違い、植物の縄を作りながら編みを進めていくのでした。私はまず縄を作ってから編んでいました。また私は両の手のひらでなわをないますが、杉村さんはふとももに置いた植物を手のひらで転がすようにしてよりをかけていきました。
いろいろな工芸に魅かれましたが、やはりエムシアツが第一。
あらためてエムシアツを習いに行くことにしてその日は層雲峡に泊まり翌日、大雪山に登りました。
丁度24日は層雲峡のイベントがあり、アイヌの方達の踊りも見ることができました。昼お会いした杉村さんも民族衣装に身を包み、とてもあでやかな姿だったことを今も鮮明に覚えています。
旭川でアイヌ工芸を極め、一般にも広める活動をされている杉村京子さん
のことを知り、1998年7月24日教室の旭川生活館を訪れました。
3色で編める人はなかなかいないそうです。今度来たときはこれを教えてあげると言っていただきましたが、
残念なことにもう叶わないことになってしまいました。
初めて編んだエムシアツ
杉村京子さんの3色のエムシアツ
作品展入り口に飾った Sさんのエムシアツ
経糸の縄の出来具合で文様の良し悪しが決まるので、
縄が上手く出来ない私は悪戦苦闘でした。
このエムシアツの編み方でおぶ紐等も編むそうです。文様には色々な気持ちがこめられているのでしょうが、今の私には分かりません。
これからの課題として文様に託した祈りや願いを
少しでも理解出来るようになりたいと思います。